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設立にあたって

「日本子宮移植研究会」設立趣意書 近年の生殖補助医療技術の発展により不妊治療は急速に進歩し、多くの不妊夫婦に福音がもたらされています。特に体外受精−胚移植技術は、1978年イギリスにて最初の出生児が得られて以来、全世界で500万人以上が誕生しています。わが国においても2011年には一年間に3万人以上の体外受精児が出生し、少産化が進む昨今、3%以上が高度生殖補助医療の恩恵に浴して誕生したことになります。しかしながら、これらの医療技術によっても、どうしても妊娠できない女性が存在します。その一つが子宮性不妊症です。 子宮性不妊症患者は、生まれつき子宮がなかったり、子宮がんなどにより子宮を摘出された場合で、自らの子宮で児を育て出産することは不可能です。子宮性不妊患者が唯一夫婦間で血の繋がった児を得ることができる方法として、代理母による代理懐胎・代理出産がありますが、多くの倫理的・法律的・社会的・医学的な問題が含まれています。たとえば戸籍・民法上の問題として、わが国においては出産した女性が母親であり、嫡出子として認めてはもらえません。妊娠・出産という女性にとって重大なイベントを第三者に負担してもらうことは、周産期医学的にも母性形成の点からも問題が残り、かつビジネス化の危惧も捨てきれません。そのため、わが国での実施は、公には認められていません。 このような背景の中、近年の臓器移植ならびにその関連技術の開発に伴い、これらの子宮性不妊患者が自らの児を得るために、「子宮移植」による妊孕性再建が1つの選択肢として考えられるようになってきています。多くの実験動物による成果が発表され、その可能性が示されてきていましたが、2011年にはトルコにて臨床応用され、2013年には妊娠に成功したことが報告され、世界中に衝撃が走りました。この例は残念ながら流産に終わり、いまだ出産例はありませんが、スウェーデンでは2012年に9例の子宮移植が行われたことが報道されています。 そこで子宮移植の臨床応用に対するこれらの世界的流れを鑑み、わが国における方向性を見極めるため、今般「日本子宮移植研究会」を発足させることといたしました。当研究会は、「子宮移植に関する基礎的・臨床的研究を進める上において、婦人科、産科、生殖医療、移植医療などの各領域の交流を深め、知的レベルの向上を意図し、倫理的ならびに法的問題を検討し、臨床応用の際の相互協力体制の確立を図る」ことを目的としています。多方面より多くの方々にご集散いただき、論議を深める場を提供するとともに、一般社会への情報提供と社会的コンセンサスの形成も目指して活動していきたく考えています。今後とも本研究会の発展に、皆様方のお力添えをよろしくお願い申し上げます。

2014年3月15日

理事長 菅沼 信彦

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